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★Beat Angels

君がすべきことはただ一つ、ニューヨークへ行くことだ -ジャック・ケルアック

ウサギとワニの物語(日本神話の幻想から)

 ウサギは歩いて川のほとりまで来ました。
 でも、川には橋がありません。ウサギは困ってしまいました。
 そこへ、ワニが偶然通りかかりました。
 ワニはウサギを見つけて、困った顔をしました。会いたくなかったからです。
 「おーい!」とウサギは大きな声で声をかけました。
 ワニは、ああ、見つかってしまった、と観念しました。
 ウサギはワニに言いました。
 「この川を向こう岸まで渡りたいんだけど、船になってくれる?」
 ワニは困って黙っていました。ウサギは畳みかけます。
 「私の言うことがきけないの?」
 ウサギに恋をしていたワニは答えます。
 「だって、川の途中で僕を毒針で刺すつもりでしょう?」
 ウサギは答えます。
 「まさか、あなたが川の途中で死んだら私だって死ぬでしょう?」
 ワニは分かったようでも、観念したようでもあるように答えました。
 「はいはい、一緒に渡りましょう。」

 ウサギを乗せた、ワニが川を渡って行きます。

 ウサギはその途中、毒針でワニの背中を刺しました。
 ワニは川底に沈んで行きました。上にのったウサギも一緒に沈んで行きました。

 「こういう生き方もあるよね。」とワニ。
 「死に方ちゃうの?」とウサギ。
 「生き方と死に方ってどこが違うのかなあ」とワニ。

 などと二人で話しながら沈んで行きました。

 

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