形式は自由ですがここでは七言絶句形式を例に説明します。
まずは4行の詩を思いつくまま書いてみます。
例えば、
満月のきれいな夜に
町の近くの高い山に登り
朝まで白酒をたしなんだ
月と影と李白を従えて
など。この程度の分量がお勧めです。理由はすぐにわかります。
これは李白が月と影を従えて3人で飲んだという有名な詩『月下独酌』のいわば現代版本歌取りです。
ここで李白の時代から1300年以上経過した我々現代人の文明の利器である「翻訳ソフト」を通してみます。
向满月漂亮的夜晚
登上城市附近高的山
到早上爱好白酒
率领月和影子和李白
となりました。当然、7文字にはなりません。ここからが正念場。元の日本語の詩を修正してそのたびに翻訳ソフトを通して、各行が7文字になるように調整していきます。不思議なことに「てにをは」を少し変えるだけで翻訳ソフトは微妙に反応しますのでめげずにトライしてください。
今回の場合は紆余曲折の結果、
満月のきれいな夜
近くの深い山にのぼり
白酒をしたたかたしなんだ
月と影と李白と
としたところ、下記に収束させることができました。
满月漂亮的夜晚
登上附近深的山
猛烈地爱好白酒
月和影子和李白
一句目などは最後の助詞「に」を削除しただけで8音が7音に変わりました。
漢詩は起承結の3行は韻を踏むことになっていますがこのやり方では不可能です。さらに調整していく過程で内容が結果的に小学生の作文並に淡白になっていくことがよくわかります。限られた語数の中に世界を凝縮させる詩人の凄さを実感したところでこの試みはやめることにしました。
しつこいですがもうひとつだけ・・・
雪の中に農家が一軒
李白がそこにいると聞いてきた
”彼は片隅の台所にいました”
裏口は開いており深雪の山
在雪中农家一所
听了李白在那里
"他在一隅的厨房"
后门开深雪的山
作法はでたらめでも、できたものだけ見せるとちょっと優越感に浸れます。但し、本場中国の方に見せたら小学生レベル、ということになります。