★Beat Angels

サル・パラダイスよ!誰もいないときは、窓から入れ。 レミ・ボンクール

花折り人


咲きたての花を折る少年を

ぼくはなぜ叱ってしまったか
たとえひそかに手折られても
それが花と少年の愛ならば
花に哀しみはなかったろうに

咲きたての花のようなひとに
手も触れず唇もかわさず
それが心の愛だなどとは
なんと勝手な言い草だろう
悲しみながら去った青春が
今になって分かるというのに

少年よ、花を美しいと思ったら
口笛を吹きながら手折れ
その瞬間もこれから先も
花はずっと咲きつづけるだろう
多分、それが愛というものだから

 

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  <吹上コスモス畑・荒川区

『東京逍遥純情詩集('80~'85)』より