いすみ線の終着駅、JR外房線と接続する大原駅に到着。
駅で見つけた簡単な地図を見ると、ほとんど海岸沿いの駅のように思えたのだが実際は大原港はここから2kmほど歩かないとならない。ここで不意の腹痛に襲われつつも、くじけずに見知らぬ街を歩き続けた。
やがて大原港に到着。初冬の黒潮の波は荒い。
青年と女性が通り過ぎそうな漁村の風景。
二人が話し込みながら見ている岬は、この八幡岬。
海水浴場は実はここからさらに南で結構離れている。今回はそちらは断念した。
『海辺の叙景』という作品に出会って早40年近い年月が経過した。私の中で二人は今でも心太のテングサからの作り方とか、タコの獰猛さのこととかを話し込んでいる。二人は大事なことを話せず焦っているわけではない。そもそも出会ってばかりの二人に他に大事なことがあるのか、始まる可能性があるのかなどは一切語られない。それでも、明日も逢いたい、とお互いに言うのだ。
「こう行って、こう!」
あの女性はまだこの西端の港町にいて私にそう行き先を示してくれている。