★Beat Angels

君がすべきことはただ一つ、ニューヨークへ行くことだ -ジャック・ケルアック

詩集

▮追悼:チャック・ベリー爺さん

I'm Just a Kid of Rock'n Roll あの頃のままだよ 路地裏で夢みた チャック・ベリーのダッグ・ウォーク Keep on Rock'n Roll リッケンバッカー抱きしめて 涙でにじんたラジオから 夢しか見れない男のために もう一度だけ聞かせてくれないか I'm Just a Kid o…

星の子守唄

星がひとつ空から落ちてきてあなたの頬を静かに照らしてるさわるとすぐに壊れそうガラスのようなあなただから風がさらっていかぬよう誰にもみつからないようにそしてあなたが目を覚ました時に一番最初に私がみえるように怖い夢など見ぬように私が守ってあげ…

秋の転調

▮冬枯れて記憶舞い飛ぶ岸辺かな 汽車の中で私の前の席に静かに座っていたその人は小雪の舞う最上川を眺めながら涙を一筋流した。 そして今日、その人のいた席に私が座っている。 ▮永訣の予感、初雪予報聴き 急を知らせた病院へと向かうタクシーの中、ラジオ…

■追悼:黙して語らぬ人へ

聖人よあなたの道を教えてくれ繁華な村落はまだ遠く鶏や子牛の声さえも霞の中にきこえる聖人よあなたの真理をきかせてくれ杏の花のどんよりとした季節のころに私は家を出で何の学問を学んできたかむなしく青春は失われて恋も名誉も空想もみんな泥柳の牆に涸…

春の転調

■ 雪ウサギおぼろ霞みて、ひと逝けり 誰よりも春の到来を待ち望んでいた人。 ■ 風花のひとひら溶けり頬の上 風の中を音もなく舞う雪。肩に残るあまりに淡い最期のぬくもり。 ■ ピアニカの列、交差せり母の列 火葬場に向かう葬列が、故人の生まれた町を通り抜…

B-Side Life

コンサート終えたミッドナイトメトロでダウンタウンクラブへベートーベン弾いたさっきのバイオリンがグリーングラスを切なくうたうよ 気楽が一番New York CityつきさえまわりゃSuccess over Nightバーボンの馬車で朝まで飛ばすよいかれたあの娘のピアノに合…

上海植物園にて

– こんなところにずっと立ったままで何をしてるんだい? – 親友の風を待っているのさ。今日は少し遅いから心配しているんだ。 もしも僕の命があと一週間と分かったならば僕は声が涸れるまで愛の歌を歌うだろう・・・と思った瞬間、一斉に蝉が鳴き出した 並木…

Shanghai Bay Blues

Shanghai Bay Bluesネオンのさざなみに青い三日月が別れを告げている今日も桟橋にあの人は来ないTell me why Shanghai bay Blues異国の石畳夜明け間近いつかのまの静けさ靴の音だけが胸にしみわたるTell Me Why 何も言わないで街はみつめてる恋の物語 Every …

簡易漢詩入門

形式は自由ですがここでは七言絶句形式を例に説明します。まずは4行の詩を思いつくまま書いてみます。例えば、 満月のきれいな夜に町の近くの高い山に登り朝まで白酒をたしなんだ月と影と李白を従えて など。この程度の分量がお勧めです。理由はすぐにわか…

ウサギとワニの物語(日本神話の幻想から)

ウサギは歩いて川のほとりまで来ました。 でも、川には橋がありません。ウサギは困ってしまいました。 そこへ、ワニが偶然通りかかりました。 ワニはウサギを見つけて、困った顔をしました。会いたくなかったからです。 「おーい!」とウサギは大きな声で声…

シラーの詩、のようなもの

みなとみらい線、みなとみらい駅からクイーンズスクエアに向かう長い長いエスカレータに乗るとこの巨大な黒い壁が見える。 これはれっきとした芸術作品でタイトルは"The Boundaries of the Limitless"。美術家のジョセフ・コスースという人の1997年の作品だ…

魔法の鏡

魔法の鏡を手に入れた 蜃気楼の国で露天商から手に入れた彼は砂漠の向こうの町からやってきたと言った彼はそれを売り渡すことを渋っていたその魔法の鏡は好きな人のその時々の表情だけをずっと映し出してくれる 僕はそれを机の上に飾ったそしてずっと好きな…

海の青さの中で

海に寄り道したね柔らかい君の髪に波の音がするよ君の中の大きな青い海が騒いでる私の海を抱いて遠ざかる丸い地球、二つの手でそっと帰り道に見つけた海をあなたにあげるわ誰も居ない砂浜に一人いる誰もいない物語歌ってる誰もいない人生を歩いてる大海原だ…

浮浪者

『横浜望郷情念詩集('85~'95)』より

野球観戦

奮闘的恋愛の末路。僕は翌日青梅にある球場に行き、ロッテー南海の二軍戦を観ていた。観客は24人。僕を入れて、だ。そして余計なお世話なことに二軍選手達の人生について思いめぐらしていた。追い打ちをかけるように降り出した雨。それも中途半端な霧雨。…

少女

南に向いた扉から果てしなき海原が広がり午後の日差しが照り返して部屋の中には光が乱舞している少女は扉のそばのベッドに歩み寄るとよく洗濯された白いシーツの上にそっと片膝をおとす少女は家霊の潜む暗闇の中から這い出してきたばかりなのだ誘惑の手はあ…

月蝕

『横浜望郷情念詩集('85~'95)』より

溶融

「聞こえる? ちょうど、この町ってお鍋の底みたいなところにあるでしょ?この石段を上り下りする人がいると、靴の音が響くの。今日、あなたが私の家に来るのも自分の部屋にいて、すぐわかったの。」 石段におおいかぶさるように茂る大樹が明滅する水銀灯に…

古い時計

君は覚えているかい雷門の大提灯の下で二人はしゃいでいた頃を 覚えているわ・・・ 仲見世でべっ甲の店をのぞいて 日本髪の櫛の店をひやかして言問通りの雨が上がるまで雷門で雨宿りした頃に僕たちはなぜ戻れないのか? 古い時計が壊れたから・・・古い時計…

鯉泥棒

こんな夢をみた。 大邸宅に夜忍び込んで、池の錦鯉を盗み出そうということになる。そこは町内でも評判の金満一家の屋敷。僕は気乗りはしなかったが彼女に頼まれるといやとはいえない。 寝静まった満月の夜、僕は大きな池にしずかに釣り糸をたらす。糸だけで…

秋の抜け道

雑木林を抜けてあなたが帰っていった道は秋が見える道なのだ池をめぐってお稲荷さんに出ればあなたは独りつぶやくだろう私はきっと耐えられます、と 武蔵野の秋は澄んだ空に風が笛を吹き電車がきらめきながら走り妙に心がはしゃいだ離れ離れの恋人たちの瞳さ…

無題

人生最初の恋は最後の恋のように思う。人生最後の恋は最初の恋のように思う。

武蔵野の小枝

やるせないばかりの無力な毎日だったとしてもいのち二つここまで生きてきてしまったならの小枝くぬぎの小枝独歩の詩のそのままの武蔵野の風にぼくらの愛を思い返せばまるで小枝のようではないか?雨の日に嵐の夜に折れそうになりつつもそれでも生きながらえ…

精霊

恋人よ・・・あなたが去った今も花は春になると咲きます繰り返し、繰り返しあなたが花の精霊であったと私に告げているようです 恋人よ・・・川岸を歩いた思い出の上に暗い明日を語った季節の上に花はもう散っていますあなたのすべてを埋めるように花は降りし…

晩秋の水郷にて

水の優しさよ私の心から棘を抜いておくれ午後の風にゆれてさざ波のような後悔・・・ 水の清しさよ春には桜の花を浮かべ初夏には菖蒲を開かせ晩い秋の今は私の別離を映しておくれ 水のぬくもりよいつか私も家族を電車に乗って訪れる午後を心のやすまる日々を…

牡丹の里

花よ、お前が明日開くなら遠い初恋のうたを作ろう牡丹よ、お前が僕を呼ぶならば夜明けに訪ねて行ってもいいあくせくと生きることに倦きたなんて言わないから安心してくれ 花よ、お前は忘れていないか?かつてここで契りあった声を牡丹よ、お前のあでやかさの…

日曜日のセーター

明るい影をあちこちに作って日曜日の恋人たちは騒ぎの中で夢を見ている座り手のない街角の椅子にそっと座り直したのは思い出去年の秋の日曜日には私もそこで夢見ていたのに 寒い季節を出向かえるように今日は厚いセーターを着ようまだ半袖の恋人たちに向かっ…

別れから明日へ

冬から春へあるいた径を夏から秋へあるいた径を君はもう忘れてしまったか色だけ変えるけやきの並木は追憶を塗りかえはしないのに秋のかげろうのように足早に通り過ぎた人はとても悲しそうにみえたけれどあれは君ではなかったかスカートの裾に枯葉が一枚愛か…

鮮やかな場面たち

忘れられない場面がいくつもいくつもあっただから今だって日比谷を通ると胸が温もる 春雨に濡れた公園でやるせなく敗れた恋とか木枯らしのベンチで聞いた思いやりのある友達の言葉とかコンサートの帰りにやっとの思いで告げた愛の台詞とかひとつひとつの場面…

秋の春情

おだやかな秋に明日は上野に行こうと君を連れ出した公園をめぐる季節の限りない記憶のかけらが落ち葉のように散り始める 多分あしたも空は晴れぼくらは無口に愛を語り動物たちに会い乾いた道を歩くだろう子供のように手をつないで 遠い春に出会い秋に別れた…