★Beat Angels

君がすべきことはただ一つ、ニューヨークへ行くことだ -ジャック・ケルアック

書評

カキモリ文具店

さてなんだかわからない人も多いと思うが知る人ぞ知る文具屋さんである。創業は2010年なので老舗というわけではない。まずはホームページをご覧になってほしい。 たのしく書く人。カキモリ 万年筆とノートが好き、そして書くことが大好き、そんな素直な気持…

定本・室生犀星詩集

書棚の中で最も古い本。 学生時代に近所の古本屋で見つけた。タイトルは犀星の直筆。当時、3,500円。それでも決死の覚悟で食事を切り詰めてなんとか手に入れた。 発売当時、定価3円。犀星の印が押されている。印刷は昭和16年(1941年)12月15日だから太平洋…

川崎のぼる~汗と涙と笑いと~展

三鷹市美術ギャラリーに行ってきた。このギャラリーはJR三鷹駅南口すぐのビルの最上階にあり至近。こじんまりとしたギャラリーで入場料も600円とお手頃。 川崎のぼるは『巨人の星』執筆当時の'67頃、三鷹に住んでいたとのことである。『巨人の星』については…

峰不二子とシンクロニシティ

昨年は江戸川乱歩生誕140年であったが今年は乱歩が亡くなって50年とのことで最近立て続けに乱歩の特集が組まれている。 少年探偵団シリーズの代表作である『黄金仮面』には大鳥不二子なるヒロインが登場する。ヒロインとは言っても悪役(実は怪盗ルパン)に…

『ソラリス』(スタニスワフ・レム)

ハヤカワ文庫のSFが今年の4月で通巻2,000番目を迎えた。記念すべき2,000番目はポーランドの巨匠レムの『ソラリス』である。 すでに『ソラリスの陽のもとに』というタイトルで1977年に237番として出版されていた。私も高校生時代にそれを読んだ。今回は新訳…

『緋色の記憶』(トマス・H・クック)

トマス・H・クックの『夜の記憶』を友人から薦められてアマゾンで注文した。届いたのが実はこの『緋色の記憶』であった。裏表紙の紹介文を読んでみると友人の薦めた理由ともさほど変わっていないことに気がついたので、まあこれでもいいか、とそのまま読んで…

『その女アレックス』

数々のミステリー大賞を総なめにした2014年の文句なしの最高傑作ミステリー。 Amazon.co.jp: その女アレックス (文春文庫): ピエール ルメートル, 橘 明美: 本 一見ありがちなイントロから始まり、あらゆる予想、期待を裏切る結末とこれまで味わったことの…

『アンダー・ザ・ドーム』(スティーブン・キング)

キングの久しぶりの大作『アンダー・ザ・ドーム』(文春文庫、1~4)。 メイン州の片田舎の小さな町がある日、突然謎のドームにすっぽりと包まれる。基本的にシチュエーションはそれだけ。あとは、そうすると何が起きるか、何がどうなるか、想像力だけの世…

『酒とつまみ』

『ふりむくな、うしろに酒はない』というキャッチフレーズがイカした、酒場と酒とつまみだけが話題の雑誌。4年前に創刊した季刊誌である。約80ページで定価400円。 今回で特集『山手線一周ガード下酩酊マラソン』が最終回を迎えた。他にはガロ系の下品な漫…

れんまん!

先手・楳図かずお、後手・日野日出志。当代きっての怪奇漫画家二人が順番で漫画を一コマずつ書いていく。相手の意表をついた展開をした方が勝ち、というなんともアナログなルール。 なかなか緊迫した展開。 そして気になる勝敗は・・・ 楳図かずおの貫録勝ち…

『肉体の悪魔』(ラディゲ)

ー恋愛に生命を見出した者たちにとって、一緒に生きることと一緒に死ぬことに大きな相違があろうか? Amazon.co.jp: 肉体の悪魔 (新潮文庫): ラディゲ, 新庄 嘉章: 本 Amazon.co.jp: 肉体の悪魔 (新潮文庫): ラディゲ, 新庄 嘉章: 本

トータル・リコール

映画『ブレード・ランナー』の原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の原作者フィリップ・K・ディックの傑作短編集。 タイトル作品『トータル・リコール』は映画化されたので有名(2回、リメイク版は2013年)。さらには2008年にスピルバーグが映画化…

和算の歴史

江戸時代に誕生した和算。いつも紹介で登場するのはこの本の扉絵のような、円を中心とした複雑な図形の中で半径を求めるような計算ばかり。しかも日本語特有のタテ書きと漢字。 時はまさにGauss, Eulerと同時代。それと比べてどこまでの水準に到達していたの…

『墨東綺譚(永井荷風)』に見る昭和初期の向島界隈の風景

「向島寺島町に在る遊里の見聞記をつくって、わたくしは之を墨東綺譚と命名した。」 荷風の代表作はこんな一節ではじまる。この作品は昭和12年に大阪朝日新聞の夕刊に連載され、夕刊が売り切れるほど大好評を博したらしい。昭和12年と言えば時局柄、太平…

『ペール・ギュント』

小中学校で朝の登校時『朝』という曲を流れているのを聞いたことがある人も多いと思う。それはグリーグの作曲による『ペール・ギュント組曲』の第一曲である。この本はその原作となったイプセンの戯曲である。 組曲の方は『朝』『オーセの死』『アニトラの踊…

『トウモロコシ畑の子供たち』

広大な大地に果てしなく広がるトウモロコシ畑。 アメリカの原風景ともいえるここを舞台にスティーブン・キングの傑作短編『トウモロコシ畑の子供たち』は書かれた。 とある旅行者夫婦がそのトウモロコシ畑の中にの街に迷い込む。そこには「18才以上は生き…

夜間飛行

「人間の生命に比べて、より永続する救うべき何物かが存在するのかもしれない。ひょっとすると人間のこの部分を救うためにリヴィエールは働いているのかもしれない。」「部下の者を愛したまえ。ただし、彼らにそれと知られず愛したまえ。」

未来の二つの顔

未来を舞台にした映画・アニメ・小説の設定年代のチャートを作ってみました。 すでに鉄腕アトムの誕生した年を過ぎ、今年2015はエヴァの年。まもなく、ブレードランナー、AKIRAの時代を迎えようとしています。(AKIRAの作品の中で『来年は東京オリンピックだ…

月の本

秋の夜長は月をみて、月に想いを馳せるなどはいいことです。 意外なことに、月をみて、月のことを長い時間考えることは容易ではありません。月はシンプルな分だけ人間に様々なことを想起させるし、そもそも人間にはそれほど邪念が多いのです。私の場合もいつ…

黒い秘密兵器

『黒い秘密兵器』(全8巻、福本和也原作、一峰大二画)を読んだ。 正確には読み返した、が正しい。小学生当時は野球漫画といえば勿論『巨人の星』が人気だったが、この作品も結構根強いファンが多かった。でも、秘球が次々と編み出されたり、ライバルが次と…

絶世美女描出

古今東西の小説での絶世の美女の精密描写。 最初は、テオフィル・ゴーチエの『クラリモンド』。田舎暮らしのまじめな僧侶がある日教会で偶然に出合った女と恋に落ちる。芥川龍之介の格調高い名訳で。 おゝ如何に彼女は美しかつたであらう。理想の美を天上に…

『新喜劇思想体系』(山上たつひこ)

この本に初めて出合ったのは大学2年の夏だった。井之頭線、池ノ上駅前の小さな古本屋での出来事だった。最近、完全版が出たので購入。改めて読み返してみた。 一見、格調高そうにみえるタイトル、扉絵、装丁はすべて冗談の一つ。ご存知『ガキでか』の作者の…

幻想と幻滅(ボルヘスとカントール) 

一種の現実逃避だと思うが、時に自分だけの宇宙を作り上げてそこに埋没してみたいと思うときがある。そんな時にいつも手にする一冊の本がある。物心ついた高校生の頃から最低でも一年に一度は読んでいる。不思議なことに旅先でふと急に読みたくなることがあ…